板倉ニュータウンから車で7分ほど、県道367号沿いに店を構える「うどんCafeはらだ」。2014年に大正5年創業の原田製麺に併設される形で誕生しました。
館林市で開かれる「麺−1グランプリ」で二度のグランプリに輝いた店主の原田一平さんに、この店に込めた想いを伺いました。
まずは、原田製麺について教えてください。
原田製麺は、大正5年に私の曽祖父が創業した製麺所です。100年以上の歴史があります。創業当初は乾麺を中心に製造していましたが、時代の変化に合わせて生麺やゆで麺の製造にも取り組んできました。
現在は、地元の小麦を活かした商品開発を大切にしながら、地域密着型の製麺会社として、群馬の麺文化の発展に貢献することを目指しています。
家業を継ごうと思ったきっかけを教えてください。
大学入学と同時に地元を離れたこともあり、最初は家業を継ぐ意思はありませんでしたが、私が20代後半の頃に先代である父親が体調を崩してしまい、とりあえず手伝おうかと実家に戻ったことがきっかけです。
その後、なぜ麺−1グランプリに挑戦しようと思えたのでしょうか?
当時夢中になっていた渓流釣りの繋がりで、地元のコーヒー店のオーナーと仲良くなりました。この方には大変お世話になりまして、商売のやり方から人付き合いの仕方までさまざまなことを教えていただきました、中でも『できるだけ素材にこだわって、体に優しいものを提供している』という言葉は強く印象に残っています。
コーヒー豆を一粒一粒丁寧に厳選するオーナーの姿を間近でに見るうち、自分もだんだんと家業に真剣に向き合う気持ちが芽生えてきて、商品開発にチャレンジするようになったんです。その成果を試したいと参加したのが、麺−1グランプリでした。
2011年・2012年とグランプリに輝いた反響はいかがでしたか?
『このうどんはどこに行けば食べられるの?』『お店で出してほしい』と多くのお問い合わせやご要望をいただきました。『うどんCafeはらだ』のオープンを決めたのはその頃です。
うちのうどんでこんなに喜んでくれる人がいるなら、もっと多くの方に楽しんでもらえる場所を作りたいと思いました。以前から妻がカフェをやりたいと言っていたこともあり、コーヒーもメニューに加えて『うどんCafe』としました。
お店の自慢を教えてください。
うちは製麺所でもあるので、やはり麺そのものが一番の売りですね。当店のメニューはすべて『きぬこがね』という商品を使っています。これは群馬県産の小麦『絹の波』を100%使用した地粉うどんで、3年かけて開発しました。絹の波はとてもデリケートな小麦ですが、少量ずつ仕込みをするなど手間暇をかけてあげることで、喉越し滑らかでコシのある食感を実現しました。
昆布や煮干しをはじめとした7種類の原料を使った出汁も特徴で、すべてのメニューのベースになっています。
人気の肉汁うどんは、私が小さい頃からの地元で食べられてた味をヒントに、長ねぎやにんじんなどを炒めてつけ汁に入れました。昔は今のようにたくさんの出汁原料が手に入らなかったので、野菜をなたね油で炒めることでコクを出して、できるだけ美味しく食べられるよう工夫していたんですよね。
野菜を使ったメニューも豊富ですね。
板倉は昔から農業が盛んな町なので、地元の野菜を積極的に使いたいと思っていました。麺−1グランプリ出場メニューの『きゅうりのだし汁うどん』(夏季限定)も、板倉の名産品であるきゅうりを全面に押し出しました。これは、出場にあたってメニューを考えているとき、『せっかく出場するなら板倉らしいメニューにしたら?』と当時の商工会の会長にアドバイスをいただいたんです。板倉町の名産品であるきゅうりを使えば、町のPRにも繋がると思いました。
店内や自動販売機では、お店の味を持ち帰ることもできるそうですね。
うどんCafeはらだの店内では、生麺『きぬこがね』や『原田の焼きそば』などを販売しています。特に『きぬこがね』は、ここでしか買えない直売限定品です。麺−1グランプリ出場メニューの『きゅうりのだし汁うどん』が再現できる『冷汁のタレ』も販売しているので、お店の味をそのままご家庭で楽しめるようになっています。
お店の外に設置してある自動販売機では、電子レンジや湯煎で温めるだけで簡単に楽しめるオリジナルカップうどん、『ちょこっとシリーズ』も販売しています。『ごま汁うどん』や『チキンカレーうどん』など、お店の味を手軽に味わえる商品なので、ぜひ試してみてほしいです。
どんなお客さまが多いですか?
地元・板倉町の方もいれば、県外から足を運んでくださる方もたくさんいます。板倉町は群馬・栃木・埼玉の県境に位置しているので、県内の方と県外の方、だいたい半々くらいの割合になるでしょうか。口コミで来店してくださる方が多い印象です。子ども連れのご家族やご年配の方、観光がてら寄ってくださる方など、幅広い層の方に楽しんでもらえたら嬉しいですね。
生まれ育った、板倉町の魅力を教えてください。
板倉町は、水辺が豊かな自然あふれる場所です。渡良瀬遊水地の広大な敷地では、サイクリングやバードウォッチングが楽しめます。季節ごとに移り変わる景色も魅力の一つですね。
農業が盛んな町でもあるので、新鮮な野菜が手に入りやすいのも嬉しいところです。当店のメニューも、板倉町の野菜に支えられている部分が大きいですから。
板倉ニュータウンの印象はいかがですか?
一言でいうとありがたい存在ですね。スーパーや病院、都心までアクセスできる駅など、生活に必要なものがすべて揃う便利な場所が地元にできるとは思っていませんでした。しかも、少し足を伸ばせば自然があり、私も休日には近くの山へトレッキングに出かけてリラックスしています。
のびのびとした環境と都市機能がバランスよく共存した、心も身体も快適に暮らせる街だと思います。駅ができて都内へのアクセスも良くなり、新たな魅力が加わったと思います。
板倉ニュータウンはどんな家族に向いていると思いますか?
やっぱり、子どもがいるご家族だと思います。便利で住みやすい環境はもちろん、昔ながらの『子どもは周りの大人みんなで育てるもの』といった雰囲気が残っている気がするんですよね。
うちの子どもたちも、小学生のときはよく店のカウンターで宿題をやっていたんですが、そういう光景を近所の方が温かく見守ってくれていた記憶があります。
原田さんにとってのITAKURA LIFEとは?
人と人との繋がりの中で新しいものを生み出していく、それが私のITAKURA LIFEかな。実は、若者の出会いをサポートする場として、当店を会場に婚活パーティーを不定期開催しているんですよ。
男女に限らず、人との出会いは街を元気にすると思うんです。私も人に助けられて今があるので、これからも少しずつ、地元に恩返しができればいいですね。
地元の活性化を目指し、変化を続ける「うどん Cafeはらだ」。ぜひ一度、群馬の素材を活かしたうどんを味わってみてはいかがでしょうか。
[ DATA ]
うどんCafeはらだ
所在地:〒374-0132 群馬県邑楽郡板倉町板倉1640
電話:0276-82-0997
営業時間:11:00~16:00(うどんタイム 11:00~14:00)
定休日:水曜日、日曜日、年始(1/1~1/3)
駐車場:15台
店内20席(カウンター6席、テーブル14席) 終日禁煙
WEBサイト:https://haradaseimen.jp/
Instagram :haradaseimen