板倉ニュータウンから館林方面へ20分ほど車を走らせると、県道366号線沿いに「NICO+COFFEE」の看板が見えてきます。ここは、おいしいパンとコーヒーを目当てに行列ができる人気店。パンを焼く奥様と、コーヒーと接客を担当するご主人。ご夫婦がこの店に込めた思いを、オーナーの高橋啓太さんが語ってくれました。
本格的なパンとコーヒーが評判です。オープンはいつですか?
2019年5月にオープンしました。そもそもは5年前に妻が館林市緑町で開業した「Boulangerie NICO」が出発点です。都内や埼玉のベーカリーで修業を重ねた妻のパンは評判が良く、翌年には焙煎機を導入し、パンと一緒に自家焙煎のスペシャルティコーヒーの提供を始めました。
妻も私も、ご来店いただいたお客様にパンとコーヒーで少しでも休んでいってもらいたいという思いがありました。でも、前の店舗は販売スペースが狭く、ちょっとしたテーブルも置けませんでした。そこで、広い店舗を探してこの場所に移転してきました。
店名の由来を教えてください。
前の店名にある「Boulangerie(ブーランジェリー)」はフランス語でパン屋さんの意味。みなさんに覚えてもらいやすい名前にしようと妻と二人で考え、「NICO」と名付けました。新店舗はパンだけではないのでブーランジェリーを取り、もう一つのウリのCOFFEEをプラスしたというわけです。
明るくて居心地のいいお店ですね。
シンプルななかにアンティーク家具を取り入れて、落ち着いたテイストに仕上げました。入り口の扉は、同級生がやっているアンティーク家具でオーダーメイドしたもの。アイアンのテーブルやチェア、真鍮のランプなどを選びアクセントにしています。
実はここ、以前は居酒屋だったんです。吹き抜けの天井や一枚板のカウンターなど、もとからあったものを部分的に活用しています。こだわったのはイートインスペース。小さなお子さん連れの方にも気軽に立ち寄っていただけるように小上がりを設けました。
奥様が手がけるパンの特徴を教えてください。
妻のパンは安心・安全がコンセプトです。北海道産の小麦粉、フランスパンはフランス産小麦粉を使用。その他の食材も産地や鮮度を吟味して使っています。というのも、私たちには子どもが3人いて、お子さんにも喜んでもらえるものを提供したいという思いがあるからです。
パンをショーケースに並べているのも、小さなお子さんへの配慮から。食材はもちろん、衛生面でも安心して食べていただきたいので、このスタイルにしました。
毎日のパンのラインナップはどのように決めているのですか?
パンのラインナップは季節によって変わります。夏場は食べやすいソフトなパンが好まれますから、北海道産小麦粉を使ったパンを中心に、クロワッサンサンド、あんバターやチョコバターなどの冷蔵品など。冬場はフランスパン生地を使ったラインナップが増えます。
季節ごとに旬の素材を使った新作も出しています。妻が試作を重ねたものを二人で試食して、販売するかどうか話し合います。とはいえ、妻は自信があるものしか出してきませんから、没になることはまずありませんが(笑)。
妻がパンを焼いているのは、工房として使っている旧店舗。開店準備ができたら私が焼き上がったパンを車で運び、販売は妻の姉に担当してもらっています。いずれは一つの店舗に統合して、本当の"焼き立てパン"を提供したいですね。
ご主人が担当するコーヒーのこだわりは?
スペシャルティコーヒーを自家焙煎、ハンドドリップで提供しています。スペシャルティコーヒーとは、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が定義する高品質で、持続可能性に配慮した、人にも地球にもやさしいコーヒーです。
実は私、以前はコーヒーが苦手でした。コーヒーはある一定期間が過ぎると嫌なニオイや雑味を感じるようになりますが、その年に採れたフレッシュな豆を焙煎にかけて淹れたコーヒーは、すごくクリアで飲みやすい。それを知って開眼。妻のパンと同じように、コーヒーでも"安心・安全"を叶えられるよう、自家焙煎の手法を独学で学びました。
コーヒーのバリエーションは?
スペシャルティコーヒーは特定の農園や地区が指定されていて、今はエチオピア、ウガンダ、インドネシア、ブラジルの豆をご用意しています。それぞれ味に特徴があり、お好みのものを選んでいただけます。迷ったときは本日のコーヒーがおすすめですね。
ご自宅用に豆を買っていかれるお客様も多いですね。焼き豆はほかに、当店オリジナルの「NICOブレンド」と「深煎りNICOブレンド」をご用意しています。スペシャルティコーヒーの流行は酸味のあるコーヒーですが、日本人の好みは酸味がないもの。NICOブレンドはお客様の声を参考に、焙煎を加減して酸味を抑えた味に仕上げています。
希少なコーヒーもあるそうですね。
希少価値の高いものでは、エチオピアの「ゲイシャ」と「ハワイコナ エクストラファンシー」。この2つは、ご注文いただいてから焙煎するので少しお時間をいただきます。ハンドドリップの提供は「ゲイシャ」のみになります。ここに移転してからエスプレッソマシンを導入し、ドリンクメニューの幅が広がっています。ときどき「エスプレッソをショットで」という通なリクエストもいただきますよ。
どんなお客さんが多いですか?
お子様連れの方や年配の方、最近は若い方も増えて、幅広い年代の方が来店してくださいます。SNSや口コミで知ったと、県内はもとより、わざわざ都内や埼玉、栃木などから訪ねてくださる方も。板倉町から来てくれる常連さんも多いです。
お子さんが3人いらっしゃるとのこと。お店と子育ての両立は大変でしょう。
子どもと過ごす時間を大切にしたいので、今は日曜と月曜を定休日にしています。子どもの行事などでどうしても不定休ができてしまうため、毎月カレンダーを作って店の入り口に掲示、インスタグラムとフェイスブックにも掲載しています。
両親が近くに住んでいるので、何かあれば頼れるのが心強いですね。私たち夫婦が仕事を頑張れるのは、周りのサポートがあってこそです。
休日はどんなふうに過ごしていますか?
今はなかなか遠出ができませんが、以前は子どもたちを連れていろんなところに出かけていました。私自身の趣味はバスケットボールで、社会人チームに所属しています。でも、ここ数年はプレーする機会がすっかり減ってしまいました。家族や仲間とレジャーやスポーツを思いっきり楽しめる日が早く戻ってほしいです。
ところで板倉ニュータウンの印象は?
私は子どもの頃にアゼリアモールの近くに住んでいて、板倉町の幼稚園に通っていました。自然に恵まれたのどかな町にあって、板倉ニュータウンはどこか都会的な水辺のまちという印象。趣向を凝らした建物や季節の花々がきれいな広い庭、ペット連れやご夫婦で散歩する光景を見かけて、ライフスタイルにこだわりのある方がたくさん住んでいるんだなあと感じています。
板倉ニュータウンはどんな人に向いていると思いますか?
板倉町は子育て支援が手厚いと聞いています。のびのびと子育てをしたいファミリーにはもってこいではないでしょうか。
渡良瀬遊水地が近いのも魅力ですね。私は小学生の頃に渡良瀬遊水地でローラーブレードに夢中になった思い出があります。いろんなアクティビティが楽しめますから、アウトドアやスポーツ好きな人には嬉しい環境だと思います。
家族がそれぞれのライフスタイルで楽しむ暮らし、それが「ITAKURA LIFE」。高橋さんにとってのITAKLURA LIFEとは?
コーヒーの種類は膨大にありますが、その中から豆を厳選して、焙煎を工夫して、これならこのエリアの方に喜んでもらえるだろうとイメージしながらやっています。お客様には、気軽にご希望を言っていただいて、ご家族それぞれのコーヒーを見つけてもらえれば嬉しいですね。パンや焼き菓子のラインナップも増やしていきますから、期待してください。
本格的なパンと香り高いフレッシュなコーヒー、そして何より髙橋さんの笑顔の接客が印象的だった「NICO+COFFEE」。ご家族好みのパンとコーヒーを見つけに行ってみませんか。
[ DATA ]
NICO+COFFEE
所在地:〒374-0033 群馬県館林市堀工町964-3
電話:0276-47-3404
営業時間:11:30~17:00
定休日:日曜日、月曜日
駐車場:7台
店内7席(コロナ対応のため席数を制限しています)、終日禁煙
FACEBOOK:https://www.facebook.com/boulangerie.nico.25
Instagram:https://www.instagram.com/nico_coffee.and.bakery/
<店舗移転>
2022年11月1日(火)より新店舗へ移転
《新店舗所在地》
〒374-0039 群馬県館林市美園町18-10
営業時間:10:00〜17:00
定休日:日曜日、月曜日